優しい医療
について

今、私たちがやってる優しい医療への挑戦。優しい医療ってなんぞやと頭悩ませながら、
こうすれば優しい医療ができるのではないかと日々試行錯誤しています。

休息大事。これ、長年思ってきました。医療業界、働き過ぎ。。残業当たり前過ぎ。。体力的に、精神的に追い詰められたとき、人は「やさしさ」を失います。外来で話を聞く余裕のない自分、家に帰って不愛想になる自分が大嫌いです。小さい頃にみたアンパンマン思い出してみてください。その人が本来もつ力を十分に発揮するためにフレッシュな頭と体が必要です。

実践内容

残業を減らすために、勤務終了の約1時間前、16時に留守番電話にしている。

全員が有給をフル消化するために常に余剰戦力を確保している。

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仕事をする中で、やりがいを感じる事はとっても大事だと思います。「やってよかった!」という感情が、「また頑張ろう!」というプラスのループを作ってくれます。やりがいは十人十色。でも「ありがとう!」って言葉が大切な要素だと思います。水道が当たり前の現代は、水がでることが当たり前。蛇口をひねって、「水出たっ!うわっー!ありがとう!」とは感じてもらいにくい。逆に、井戸や川で水をくんでいた時代に、水道ができたときは感慨ひとしおだったと思います。熊野地域で在宅医療をしていると、それぞれの家ではじめて水道の蛇口をひねるくらい喜ばれる。「ありがとう」から始まるプラスのループを作りやすい地域だと思います。

実践内容

熊野地域で24時間対応の在宅療養支援診療所として在宅医療を担う唯一の医療機関。

ボーナスは歩合制(頑張っただけスタッフに還元)。

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時間です。時間を確保することを大切にしています。優しい心を持った医者でも、Drコト―ばりに優秀な医者でも、「時間がない」中では何もできません。況や我々をや。です。ひとりひとりに向き合う事ができるよう物理的に時間を確保して診療にあたってます。時間があるって事は医療的なproblem以外に触れる余白ができます。そのプラスαが、その人にとってのオーダーメイド医療(?!)につながります。ときにはお茶したり、飯食ったり、30分かけて10年物の爪を切ったりなんてことも。

実践内容

1日あたりの患者数を決める。

休日・有給消化を織り込んだ上で月にみることのできる患者数を考慮する。

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Patients-and-staff
Patients-and-staff

患者さんが「聞きたいことを聞ける」「言いたいことが言える」がとても大切だと思います。以前勤務先の診療所で、12月に「薬の大掃除、絶対怒らないので余っている薬持ってきてください。」とチラシを作りました。押し入れにあったと思われる大量の薬をコンビニ袋にいれた患者さんが大挙しました。いままでなかなか言い出せんかったんかなぁ~ 医者が思うよりずっと患者さんとの壁はあるように思います。この壁を打破するためには、一見しょーもない会話ができる事、その関係づくりが大事だと思います。大昔の大恋愛を話せる間柄なら、「この薬飲んだ方がええの?」って気軽に言えるかもしれません。コミュニケーションを通じた関係性作りが鍵ですね。

実践内容

余白の時間を利用して医療情報以外の生活歴を収集する

スタッフとの情報共有は、医療的な問題点以外も含めてシェアする

全ての患者の情報共有をスタッフ全員で行う

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飯を食うか、風呂にはいるか、薬を飲むか、点滴するか。「エヴァに乗るか、乗らないのか」こういった事は、本人さん、家族さんとメリット、デメリットを話しあって決めることにしてます。医療は、「その人がその人らしく生きる。」ための手段のひとつであると思うので、医療主導で物事を決めていく事はしていません。毎週、温泉に通っていたような風呂大好きなじいちゃんが余命幾ばくの状態だったら、そりゃ風呂に入ってもらおうって話にもなります。訪問入浴も、デイサービスも看護師いますし、状況によっては、自分たちが傍について入浴することもできますし。正解がないことも多いので、その人を少しでも知って、よりbetterな状態を作るのが自分たちの仕事なのかなぁと思っています。

実践内容

否定しないコミュニケーション

物事の決定者は患者さんや家族さん

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在宅医療をはじめて感じたのは、「他職種にとっての優しい医療も大切だ。」です。医師患者関係もそうですが、医療と介護の間にあるハードルも、医者が考えるよりずっとずっと高く、ピレネー山脈もびっくりです。在宅医療はまず自宅での生活ありき。生活がままならないのに、薬だしても、点滴しても、のれんに腕押しです。医療、介護、どちらも、住民が生活していくための手段のひとつであり、上下関係などなくフラットです。医療と介護は良き友人のような関係であるべきだと思います。そうなれるよう、様々な取り組みをしています。

1. 雑相ランチ

当たり前の話ですが、医療スタッフも、介護スタッフも、お昼ご飯食べます。なら、一緒に食べませんか?雑談しながら相談できたら有難い。って事で介護事業所お邪魔してます。業務終了後に会議!じゃないゆる~い時間が気に入ってます。

2. Dr’s CAFE

ドクターズカフェ。月1ペースで、ほんまもんの喫茶店を借りて、医師がカフェを運営してます。その日のドリンク、ケーキなど用意して、専門職の憩の場を作っています。医師、医療をより身近に感じてもらうために始まりました。

3. 在宅医療介護連携支援センター

中核病院の紀南病院内に設置されている在宅医療介護連携支援センター「あいくる」に医師、看護師を派遣してます。地域の困り事解決や、医療介護連携のための取り組みに一役かってます。

4. ACP意思決定支援勉強会「ミトリーナ」

この地域の人材、資源で看取りをいかに進めるか、熊野地域での看取り事例を共有蓄積するための場「ミトリーナ」の企画、応援してます。2ヶ月に1回のペースで開催中。

5. 多職種連携川下り

ケアマネ、連携室、包括支援センターなど様々な多職種と一緒にパックラフト(カヌーみたいなもの)で熊野川を下ります。仕事の場から離れて一緒に過ごす時間を作ってます。

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ケアマネと漫才したり、多職種で川を下ったり。仲間と言える愛すべき人たちと一緒に楽しむことを大切にしています。仕事終わりに時間を使って何も決まらない会議をやるのはもう卒業しました。
みんなでおもしろい事をもっと。がモットーです。